HEROくんルール
HEROくんルール
HEROくんには、少し変わったクセがある。
たとえば、
電車のホームで白線をまたいで乗ろうとするときに、
線をまたいだ状態のまま前後に身体を揺らす動作になる。
なかなか乗ろうとしないので、「危ない!」と思うときもありました。
HEROくんの特性を理解していなかった時は、
「ほんとにもう、何してるのかな~」と、こちらがイラっとして、
場所的にも危ないからと押して強制すると抵抗し、
扉前で烈火のごとく怒り出し、かえって危険になったりしました。
そのまま、抱えて電車に載せようものなら、
車内で、大声で喚き散らして発狂し、暴れたりされて、
大混乱になりました。
人目も気になるし、最悪です。
(これは一番、調子が悪かった小学1年生のころ)
こういう場合は、来ている電車に乗ることは諦めて、
後ろに下がらせるのが正解だったでしょう。
ただ、急に抵抗したり、怒り出したりするタイミングが
あまに突然で、予想がつかなかったりしたので、
親としてとっさにの判断を迫られ、
逆効果の選択をしてしまい失敗することも多かったのです。
あまりに色々な場面でHEROくんのこのクセを経験してくると、
だんだんとこちらも学ぶもので、
今では、まずは身の安全確保を優先する判断をしやすくなりました。
とにかくHEROくんには、
こちらの当たり前に考えている常識を崩される日々で、
意識としては、
「電車は、一番最初に来たものに乗る」が鉄則だったのが、
「とにかく、無事に電車に乗れればいい」に変わりました。
今では、危険のないようなことに関しては、
できるだけ、気の済むまでやらせて待つようにしています。
そのクセを途中で遮り先に進ませようとすると、
怒って、また最初からやり直しになってしまうのです。
結局、介入せずに待つのが一番早い。。。
ほかにも例を挙げると、
○ 階段を昇る場合 ○
まず一段目にのせた足に体重をかけるのかと思いきや、
そのまま下の足に体重を戻し、また上の足に体重をかけ、下の足にかけ・・・と
何度か繰り返してから上りはじめます。
○ シャツを着るときに、両腕をまずつっこんでから頭をつっこむ場合 ○
そのまま下に下ろせば、一発で決まるものを、頭を何度もTシャツから出したり入れたりする。
○ シャツを着るときに、頭を先に突っ込んだ場合 ○
腕を片腕づつ袖に通すにも、手を袖にちょっと出したり入れたりしてから着る。
○ ズボンやパンツを履くとき ○
片足を突っ込むかと思いきや、足を引出し、入れたり出したりしてから着る。
○ 筆箱から鉛筆を取り出すとき ○
そのまますっと1本を抜き出せばいいものを、少し抜いたところで、また奥までさしこみ、
抜き差しをくりかえしてから、取り出す。
見た目、何をするにも、助走のような動作が入り、
まるで弾みがないとその後の動作を続けられないかのようです。
ただでさえ、
場面の切り替えが下手で、次の動作に取り掛かるまで時間がかかっているのに、
やっととりかかり始めたと思ったら、この反復動作の助走をするので、
本当に急いでいるときは、我慢しきれなくなり、
つい、口出し、手出ししてしまうことがあります。
そこを邪魔すると 例外なく、
本人を怒らせ、動作をやめ、あっちに行ってしまったりして
こじれて余計に時間がかかることになるのがオチとなります。
それがわかっているのに、今でも時々、失敗します。
HEROくんが、保育園のころからずっと謎だった、このクセ、
最近、ようやく本人の口から 理由が漏れました。
「だって、奇数回だと、呪いがかかっちゃうんだよ・・・」
突然飛び出した理由に、こちらは「・・・なにそれ・・・?」
自分で勝手に思い込んだルールなのでしょうが、
とにかく、気持ち悪いからそうせざるを得ないことを説明しているのですね。
でも、それを常にすべてに適用してしまうと、
どんなことも一発で決まらないことになります。
なぜなら、一回目で決めることは、奇数で決めることになってしまいますから。。。
それなら、せめて、2回目で決めてほしいものですが、
勢いがついてしまうのだかなんだか、その先まで繰り返してしまうのでしょう。
・・・ということは、
頭の中で、つねに何回動作をくりかえしたかをカウントしているということになります。
それをいきなり介入して止めると、カウントしていたのがわからなくなるので、
怒るのではないかと推測できます。
クセを出しているときの心情がなんとなくわかったのはいいのですが、
なんとか、このクセがなくなってくれるといいなと思います。
調子のよいときは、クセが出にくく、
調子が悪いと、クセが増えますので、
やらなくても済むことがあるということは、
このクセが減っていく可能性もありそうです。
まあ、年月はかかるかもしれませんが、
気長に待つしかないでしょう。
あ~、それにしても、
HEROくんからは、
「忍耐強く待つ」ということを常に学ばされている気がします。